音楽鑑賞の記録

ほぼクラシックのcd鑑賞記録です。

オペラ ヴェルディ:ドン・カルロス アントニオ・パッパーノ/パリ管弦楽団(1996年)

9784094803334(小学館)1996年3月 ライブ録音

歌劇『ドン・カルロス』フランス語5幕版

ヴェルディ 作曲 

211分 【5.0サラウンド】
■出演:
ドン・カルロス:ロベルト・アラーニャ
ロドリーグ:トーマス・ハンプソン
エリザベート・ド・ヴァロワ:カリタ・マッティラ
フィリップ2世:ホセ・ファン・ダム
エボリ公女:ヴァルトラウト・マイアー

​​■管弦楽:パリ管弦楽団
​■指 揮:アントニオ・パッパーノ
■収録:1996年3月 パリ シャトレ座

演出:リュック・ボンディ
美術:コル・アユロー
衣装:モアデル・ビッケル

小学館からリリースされていた、しっかりした装丁の解説本が特徴のDVD、魅惑のオペラシリーズの一つ。映像作品自体は現在ワーナーミュージックからリリースされているものと同じ。

現在でもイタリア語4幕版が主流かもしれないが、この1996年シャトレ座版は1867年初演のフランス語5幕版を元にバレエをカットしたもので、その後のフランス語上演再燃の嚆矢となったものらしい。

開始早々のフォンテンブロー!からアラーニャの声が光り輝く。主役級5人どの配役も錚々たる顔ぶれで皆素晴らしい。中でもマッティラは現在の貫禄ある趣からは想像できないくらいのすっきりした立ち振舞で気高く誠実なキャラと歌唱を披露してこれぞエリザベート

合唱やアリアも豊富だが、様々な重唱もあって飽きるところがない。低音好きな自分には貴重なバス二重唱まである。ヴェルディが到達した頂点の作品の一つだと思う。

演出は黒の衣装に横からの光による影を多用して地味とも言えるが、うるさく感じることもなくかえって歌唱にフォーカスが当たる効果があった。

解説本も丁寧な作りで、歴史や絵などとっつきやすい趣向で紹介されている。惜しむらくは対訳で、かなりの量が付されているのでここまでやるなら全訳にしてほしかった。