音楽鑑賞の記録

ほぼクラシックのcd鑑賞記録です。

オペラ ヴェルディ:アイーダ リッカルド・ムーティ/東京春祭オーケストラ(2024年)

2024年4月20日コンサート・ライブ 東京文化会館 大ホール

歌劇『アイーダ』全曲(演奏会形式)

1幕:約39分 2幕:約42分 3幕:約33分 4幕:約33分
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲

 

 ■出演:

アイーダ(ソプラノ):マリア・ホセ・シーリ
ラダメス(テノール):ルチアーノ・ガンチ
アモナズロ(バリトン):セルバン・ヴァシレ
アムネリス(メゾ・ソプラノ):ユリア・マトーチュキナ
ランフィス(バス):ヴィットリオ・デ・カンポ
管弦楽:東京春祭オーケストラ
■合唱:東京オペラシンガーズ
■指揮:リッカルド・ムーティ

 

82才のムーティが今年も東京・春・音楽祭に参加してくれた。この時期は花粉症で辛いため演奏会に行くのは躊躇われるのだが、昨年の仮面舞踏会は花粉ピークの3月で断念。今年は4月下旬で花粉も末期だろうと予想して参加した。

ムーティアイーダと言えば1974年の超名盤がある。それからおよそ半世紀、颯爽溌剌だったムーティは大樹のような包容力と雄渾の演奏を聴かせてくれた。

歌手陣は概ね良かったが、特にマトーチュキナは圧倒的な情感と歌唱を披露した。心情的にもアムネリスに肩入れしがちなのだが、1幕から4幕までに感情が激しく動くこの役をより魅力的にしてくれた。

ガンチもホセ・シーリも出だしは今イチで心配だったが終幕の二重唱は非常に良く、最初からこれで行ってくれよというところ。

日本人キャストの国王役、巫女役の方は流石に声量では及ばないものの、声質もきれいで素晴らしかった。

合唱は、今回が演奏会形式ということもあってかなり前面に出てくる印象。全体に大きく気合が入っていて圧が強い。普段のオペラとは異なる印象となったが面白かった。

そして一番感動させられたのは管弦楽の方々。2幕の最初や中盤の金管の出だしですこしずっこけたが、ムーティの出したい表現を確実に出していたのではないだろうか。

こんなにメリハリが効いて弱音もばっちり出せて、しかもそれが日本の若手の方々というのは将来に明るい希望しかない。しかも皆嬉しそうだ。ぜひ皆さん飛躍していってほしい。

ここまでの力を引き出すムーティが恐るべしなのかもしれないが、終演時にこれほど奏者、聴衆が一体となった幸福感を表したのはめったにない体験だった。

そして、限られた字数とスペースで字幕を制作した方にも敬意を表したい。本当に苦労なさったろうと思う。

次回は2024年の9月開催として、ムーティと東京春祭オーケストラによるアッティラの公演も発表された。花粉の悩みがない秋、しかもムーティアッティラ…これは聴きに行きたい…