音楽鑑賞の記録

ほぼクラシックのcd鑑賞記録です。

オペラ サン=サーンス:サムソンとデリラ マーク・エルダー/メトロポリタン歌劇場管弦楽団(2018年)

WOWOW放送 2018年10月20日ライブ

歌劇『サムソンとデリラサン=サーンス作曲 約204分(幕間解説等含む)

■出演:
サムソン:ロベルト・アラーニャ
デリラ:エリーナ・ガランチャ
大司祭:ロラン・ナウリ

管弦楽メトロポリタン歌劇場管弦楽団
​■指 揮:マーク・エルダー
■収録:2018年10月20日 メトロポリタン歌劇場

演出:ダルコ・トレズニヤック


サン=サーンスのオペラはこれしか知らず、CDを一回聴いただけで映像体験は初めて。

当初はオラトリオを想定していたということもあってか、合唱の場面が多い。音が散らばらずに聴きやすくて良かった。

メインキャストの二人はさすがというか共に十八番のキャラクターで、抜群の歌唱に加えてルックス、演技とも申し分なく恐れ入りました。

第三幕のデリラは、哀れなサムソンをみて少し葛藤の表情も見られて繊細な造形だった。

エルダーの演奏はメリハリがありバッカナールも激しい盛り上がりを聴かせた。

演出はメタリックな構築物が多く、幕間インタビューでガランチャが少しスターウォーズっぽいと言っていたが確かにそんな感じ。

しかし衣装が気合が入りまくりで素晴らしく、全体の印象は奇抜にはならず、このオペラの初回視聴にはちょうど良いように感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オペラ ヴェルディ:シモン・ボッカネグラ ファビオ・ルイージ/フィルハーモニア・チューリヒ(2020年)

NHKBSプレミアム放送(2021年12月13日) 2020年12月4,6日ライブ

チューリヒ歌劇場公演
歌劇『シモン・ボッカネグラ』全三幕 142分
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲

 

 ■出演:

シモン・ボッカネグラ:クリスティアン・ゲルハーヘル
マリア・ボッカネグラ/アメーリア・グリマルディ:ジェニファー・ロウリー
フィエスコ:クリストフ・フィシェッサー
ガブリエーレ・アドルノ:オタール・ジョルジキア
パオロ・アルビアーニ:ニコラス・ブラウンリー
ピエトロ:ブレント・マイケル・スミス

管弦楽:フィルハーモニア・チューリヒ
■合唱:チューリヒ歌劇場合唱団
■指揮:ファビオ・ルイージ

■収録:2020年12月4,6日 チューリヒ歌劇場(スイス)

演出:アンドレアス・ホモキ

 

KKC9682など映像の商品化もされているが、NHKBSプレミアムでの放送を視聴した。
コロナ禍での上演で無観客、オケと合唱はリモートという特殊公演。
しかしリモート演奏とは思えない完成度だった。歌手陣も熱演でかえって集中度が高く感じた。

特にゲルハーヘルとブラウンリーは表情・動きが素晴らしかった。ゲルハーヘルは情熱を持ちながら思慮深いシモンを聴かせてくれた。ロウリーはガッチリした体格の割には声の覇気が足りなく感じるところもあったが、聴かせどころはしっかりしていて父娘再会の場面は感動的だった。

演出は現代読み替えだがそれほど奇抜ではなく、あまり場面そのものに印象点のないこのオペラで、回転する舞台で次々と場面転換を行う趣向はとても良かった。
あるシーンでは移動、あるシーンでは回想、と回転舞台によって視覚的に飽きることなく非常に活発な印象を受けた。

指揮のルイージはアクセントが効いていてヴェルディらしい劇的なシーンではこれがより強調されてメリハリのある演奏だった。

 

 

 

 

 

 

 

オペラ モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ テオドール・クルレンツィス/ムジカエテルナ(2021年)

NHKBSプレミアム放送(2022年1月16日) 2021年8月4,7日ライブ

ザルツブルク音楽祭2021
歌劇『ドン・ジョヴァンニ』全曲 214分
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲

 

 ■出演:

ドン・ジョヴァンニダヴィデ・ルチアーノ(バリトン

騎士長:ミカ・カレス(バス)

ドンナ・アンナ:ナデジュダ・パブロワ(ソプラノ)

ドン・オッターヴィオ:マイケル・スパイアーズ(テノール

ドンナ・エルヴィーラ:フェデリカ・ロンバルディ(ソプラノ)

レポレッロ:ヴィート・プリアンテ(バリトン

マゼット:ダーヴィト・シュテフェンス(バス)

ツェルリーナ:アンナ・ルチア・リヒター(ソプラノ)

管弦楽:ムジカエテルナ管弦楽団
■指揮:テオドール・クルレンツィス

■収録:2021年8月4,7日 ザルツブルク祝祭大劇場

演出:ロメオ・カステルッチ

 

コロナ禍で行われたザルツブルク音楽祭の目玉だった公演を鑑賞。

カステルッチ、クルレンツィス共に気鋭の芸術家とあって話題を呼んだ。

演奏はやはりクルレンツィスのイメージのせいか軽快でリズミカル。メリハリは効いているがやり過ぎにはなっておらずモーツァルト演奏を堪能できた。

歌手陣はロンバルディとスパイアーズがそれぞれ聴かせどころのアリアで存在感があった。

問題は演出で、おそらく色々と意図があってその解釈も観衆に委ねるところが多いのだろうが演出家の独りよがりが過ぎるように感じる。

ドン・ジョヴァンニとレポレッロは服装や髭まで同じで見た目の判別困難で服を交換する場面が意味不明、カタログの歌ではコピー機に髪の毛、後半で騎士長は視覚的な登場がないなど、この演目を初めて鑑賞する人には全くおすすめできない。

歌手陣もさぞや苦労したろうと思わされる。ルチアーノも全裸にさせられる必要はあったのだろうか。

恐らくこの演奏は映像なしで鑑賞するとかなり印象が変わると思われる。しかしその場合は物の落下音などのノイズ入りとなってしまうが。

 

 


【出演】ダヴィデ・ルチアーノ,ミカ・カレス,ナデジュダ・パブロワ,マイケル・スパイアーズ,フェデリカ・ロンバルディ,ヴィート・プリアンテ,ダーヴィト・シュテフェンス,アンナ・ルチア・リヒター,テオドール・クルレンツィス,ムジカエテルナ,ザルツブルク・バッハ合唱団,ヴィタリー・ポロンスキー

「歌劇「ドン・ジョヴァンニ」」
ロレンツォ・ダ・ポンテ:作詞
ウォルフガング・アマデウスモーツァルト:作曲
ドン・ジョヴァンニ…(バリトンダヴィデ・ルチアーノ、騎士長…(バス)ミカ・カレス、ドンナ・アンナ…(ソプラノ)ナデジュダ・パブロワ、ドン・オッターヴィオ…(テノール)マイケル・スパイアーズ、ドンナ・エルヴィーラ…(ソプラノ)フェデリカ・ロンバルディ、レポレッロ…(バリトン)ヴィート・プリアンテ、マゼット…(バス)ダーヴィト・シュテフェンス、ツェルリーナ…(ソプラノ)アンナ・ルチア・リヒター、(指揮)テオドール・クルレンツィス、(管弦楽・合唱)ムジカエテルナ、(男声合唱ザルツブルク・バッハ合唱団、(合唱指揮)ヴィタリー・ポロンスキー
(3時間17分37秒)
~2021年8月4・7日 ザルツブルク祝祭大劇場(オーストリア)~

オペラ ドヴォルザーク:ルサルカ マーク・エルダー/メトロポリタン歌劇場管弦楽団(2017年)

WOWOW放送 2017年2月25日ライブ(2018年12月3日放送)

歌劇『ルサルカ』ドヴォルザーク作曲 約232分(幕間解説等含む)

■出演:
ルサルカ:クリスティーヌ・オポライス
王子:ブランドン・ジョヴァノヴィッチ
水の精ヴォドニク:エリック・オーウェン
イェジババ:ジェイミー・バートン
外国の王女:カタリーナ・ダライマン

管弦楽メトロポリタン歌劇場管弦楽団
​■指 揮:マーク・エルダー
■収録:2017年2月25日 メトロポリタン歌劇場

演出:メアリー・ジマーマン


ドヴォルザークのオペラと言えば、このルサルカだけが著名だ。なかでも月に寄せる歌は名アリアとしてソプラノのレパートリーとなっている。

このオペラの一番の難題はチェコ語で歌われること。とにかく聴いていてもさっぱり分からない。第2幕終盤での王子のspaste mne(助けて!)の箇所が日本語の「助けて!」に聞こえてちょっとびっくりした。

主役のオポライスは超ハマり役で、歌唱だけでなく雰囲気や所作も素晴らしかった。バートン、オーウェンズも役にぴったりで良かった。

演奏は安全運転という感じで特に不満はなし。

演出はルサルカを月光の白、王女を情熱の炎の赤、ヴォドニクを水の精ながら何故か緑、とイメージを明確にしてとてもわかり易くしていた。月に寄せる歌の場面でも幻想的な雰囲気が出ていた。

オペラ ヴェルディ:アッティラ リッカルド・ムーティ/東京春祭オーケストラ(2024年)

2024年9月14日コンサート・ライブ 東京音楽大学 100周年記念ホール

歌劇『アッティラ』全曲(演奏会形式)

プロローグ:約38分 1幕:約31分 2幕:約24分 3幕:約16分
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲

 

 ■出演:

アッティラ(バス):イルダール・アブドラザコフ
エツィオ(バリトン):フランチェスコランドルフィ
オダベッラ(ソプラノ):アンナ・ピロッツィ
フォレスト(テノール):フランチェスコ・メーリ
管弦楽:東京春祭オーケストラ
■合唱:東京オペラシンガーズ
■指揮:リッカルド・ムーティ
■合唱指揮:仲田淳也

 

ムーティが春に聴かせてくれたアイーダが素晴らしかったところに更に秋にアッティラ実演もしてくれる…あまり演奏機会のない題目なので期待も大きかった。

ムーティは83才となって春よりもこころなしかスマートになり二度も指揮台で跳ねるほどキレキレで情熱的な演奏を聴かせてくれた。

ソロ歌手陣も皆さん素晴らしかった。特にメーリは図抜けていて、主要四キャストの最後に登場だったが、まるで真打ち登場のようなオーラと歌唱。声量も余裕を感じさせつつも圧倒した。

オケ、合唱も若々しく、ヴェルディ初期作ということもあって非常にはつらつとしていて良かった。

第二幕が終わったところでムーティはかなり満足そうな表情で、すでにやりきった感が滲んでいたが、短い終幕の第三幕も集中力途切れず熱演で締めてくれた。

春に続いて、ムーティの意図がしっかり表現できていたことを演奏者皆さんの表情が如実に語っていた。未来ある皆さんには更に高みに上がっていってほしい。

オペラ ヴェルディ:アッティラ アンドレア・バッティストーニ/パルマ王立歌劇場管弦楽団(2010年)

 

747804(C Major) 2010年10月ライブ

歌劇『アッティラ』全曲 118分
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲

 

 ■出演:

アッティラ: ジョヴァンニ・バッティスタ・パローディ
エツィオ: セバスティアン・カターナ
オダベッラ: スザンナ・ブランキー
フォレスト: ロベルト・デ・ビアージョ

管弦楽パルマ王立歌劇場管弦楽団
■合唱:パルマ王立歌劇場合唱団
■指揮:アンドレア・バッティストーニ

■収録:2010年10月 ブッセート ヴェルディ劇場

演出:ピエルフランチェスコマエストリーニ
装置、衣装:カルロ・サーヴィ
証明:ブルーノ・チュッリ

来るムーティアッティラ来日公演に備えて鑑賞。

単品でも販売されている(721704)がヴェルディ全オペラセットのもので視聴した。日本語字幕付き。

指揮者バッティストーニはなんと23歳。歌手も若手主体で全体に活き活きとしている。

舞台は小さくほとんどバックスクリーンのCGによる演出だが情景描写には非常に効果的だった。
照明は黄土色気味で光量はかなり絞られており、舞台とスクリーンの一体感が増し、彫りの深い演者の表情に陰がさして印象的だった。

衣装はかなり凝っていて、皮膚の色にも青や緑を使うこだわりよう。

ヴェルディ故郷にある小さな劇場で、豪華な作りながら客席300。臨場感があって満足できそう。

オペラ ヴェルディ:ドン・カルロ(伊語4幕版) リッカルド・シャイー /スカラ座管弦楽団(2023年)

NHKBS4K放送(2024年5月5日) 2023年12月7日ライブ

歌劇『ドン・カルロ』(1884年ミラノ4幕版)全曲 199分

ジュゼッペ・ヴェルディ作曲

■出演:
フィリッポニ世:ミケーレ・ペルトゥージ
ドン・カルロ:フランチェスコ・メーリ
ロドリーゴ:ルカ・サルシ
大審問官/修道士:パク・ジョンミン
修道士(カルロ五世):イ・ファンホン
エリザベッタ:アンナ・ネトレプコ
エボリ公女:エリーナ・ガランチャ
管弦楽:ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
■指 揮:リッカルド・シャイー  

■収録:2023年12月7日 ミラノ・スカラ座(イタリア)

演出:ルイス・パスクワル
衣装:フランカ・スクワルチャピーノ
美術:ダニエル・ビアンコ
照明:パスカル・メラ
映像:フラン・アルー
振付:ヌリア・カステホン

ミラノ・スカラ座のシーズン開幕公演のライブ録画をNHKが4K放送。
主要キャスト各自に聴かせどころあり、重唱、合唱もありの傑作で、おかげで歌手を揃えるのが難しいとされる作品だが、今回は豪華キャスト陣。

シャイーとスカラ座管は切れ味の良い演奏で、かつ強弱も歌唱も聴きやすい。
合唱が前半は少し聴き取りにくい箇所があったが録音バランスのせいかわからない。

主要キャストではサルシとガランチャが特に良く、声に張りがあった。ガランチャは所作や雰囲気も良く、本当に演者として優れた人だ。
ネトレプコは前半は憂いの中で陰りのある声、4幕では決然とした声と、しっかり役を反映していた。

演出は近年吹き荒れる意味不明な演出ではなく、シンプルで重厚。白黒を基調とした衣装も相まって全体を暗く、証明で陰影を際立たせている。堀の深い顔立ちのキャストには、物語のキャラが持つ陰影が醸し出される効果があって良い試みと感じた。

現代の演奏、歌手、演出すべてが高い水準の公演。