音楽鑑賞の記録

ほぼクラシックのcd鑑賞記録です。

ベートーヴェン  歌劇フィデリオ アントニオ・パッパーノ/コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団(2020年)

NHKBSプレミアム放送(2021年11月14日) 2020年3月6,9日ライブ

歌劇『フィデリオ』全曲 138分
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲

 

 ■出演:

レオノーレ: リーゼ・ダヴィドセン
フロレスタン: ヨナス・カウフマン
ロッコ: ゲオルク・ツェッペンフェルト
ドン・ピツァロ: サイモン・ニール
マルツェリーネ:アマンダ・フォーサイス

管弦楽:英国ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団(コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団)
■合唱:英国ロイヤル・オペラ合唱団
■指揮:アントニオ・パッパーノ

■収録:2020年3月6,9日 英国ロイヤル・オペラ・ハウス

演出:トビアス・クラッツァー

かなり久しぶりのフィデリオ観劇。コロナ蔓延直前の公演で、その後Opus Arteからメディア商品化(OABD7288D他)されたがそちらの収録日は3月13日でNHK放送とは異なり、フロレスタンが代役となっている。

パッパーノの演奏は序曲からノーブルさを感じさせ、かつスノッブではない。レオノーレ含め、序曲はクレンペラーベームなどをよく聴いていたので、パッパーノは颯爽として軽やかに流れていく。

歌手陣は皆素晴らしく、ダヴィドセンは大柄な体格も相まってレオノーレにぴったりだ。ツェッペンフェルト、フォーサイスの脇役もしっかりしているので劇の締まりが良い。

登場が遅く影が薄くなりがちなフロレスタンだが、カウフマンはその第一声から渾身の一撃を聴かせてくれた。

演出は舞台はフランス革命時期に置き換えられるも全体にオーソドックスと思っていたが…。1幕からステージが白い縁どりで覆われどことなく画面上の出来事のように見られ、2幕になると現代服の集団が現れ、フェルナンドも現代服で登場。最後には皆が白い縁どりから出てきて女性讃歌で締める。女性の地位向上の歴史を現代から振り返って見ているという視点なのか…時代に取り残されたヤキーノだったのか…よく分からない。

テキストにかなり改変を加え、ストーリー展開としては肉付けがされマルツェリーネにも落とし所を作って意欲的な制作だったがこれは賛否両論だろう。特にフィデリオ初観劇には向かない公演だ。演奏、歌手が凄まじく良いだけにもったいない。