NHKBSプレミアム放送(2018年11月11日) 2018年8月2,10,13日ライブ
◇ザルツブルク音楽祭2018
歌劇『スペードの女王』全曲 183分
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲
■出演:
士官ゲルマン:ブランドン・ジョヴァノヴィチ(テノール)
トムスキー伯爵/プルートス役:ウラジスラフ・スリムスキー(バリトン)
エレツキー公爵:イーゴリ・ゴロヴァテンコ(バリトン)
リーザ:エフゲニア・ムラヴィエワ(ソプラノ)
ポリーナ:オクサナ・ヴォルコワ(メゾソプラノ)
伯爵夫人:ハンナ・シュヴァルツ(メゾソプラノ)
■管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
■合唱:ウィーン国立歌劇場合唱団(合唱指揮:エルンスト・ラッフェルスベルガー)
■指揮:マリス・ヤンソンス
■収録:2018年8月2,10,13日 ザルツブルク祝祭大劇場
演出:ハンス・ノイエンフェルス
装置:クリスティアン・シュミット
衣装:ラインハルト・フォン・デア・タンネン
照明:ステファン・ボリガー
映像:ニコラス・フンベルト、マルティン・オッター
収録監督:ティツィアーノ・マンチーニ
元日は毎年視聴しているNHKのウィーンフィルニューイヤーコンサート。今年は地震で生放送が飛んでしまった。再放送もあるし自分と相性の良くないティーレマンなのでそれほど気にしなかったが、空けていた時間には膨大な録画ストックからオペラ鑑賞に割り当てた。
今になって思えばヤンソンスの亡くなるおよそ1年前となるこの演奏、オペラを振っている印象がほとんどないヤンソンスだがウィーンフィルとの相性も良く、素晴らしい管弦楽だった。
自宅環境のせいかオケと歌唱のバランスが若干悪く、オケの弱音を拾えていない部分があったのが少し残念だった。
主要キャラの歌唱陣は皆安定していて聴きやすい。といってもロシア語は全然聴いても分からないのだが。
ジョヴァノヴィチとムラヴィエワはとてもキャラクターが鮮明で素晴らしかった。
ロシアオペラと言えば、合唱重視というイメージが強い。このオペラでも活躍場面が多いが、謎の衣装と謎のコレオグラフは意味がよく分からない。余計な動作のおかげであまりまとまりのない印象が残った。
演出は前衛的として著名なノイエンフェルス、この人は2022年にコロナで亡くなっているのか…相当身構えたが主要人物や全体の雰囲気はむしろオーソドックスなイメージで歌手も歌いにくそうな場面や動作もあまりなく良かった。合唱陣の扱いと女帝は意味不明だったが。
取り上げられる機会の少ない作品だけに、ヤンソンスとウィーンフィルが名演を残してくれたことが本当にありがたい。