2023年10月24日コンサート・ライブ サントリーホール
マケラの来日公演、シベリウスのプログラムは2回だけ。24日の演奏会に行った。
シベリウスは一般に冷たく影のあるイメージが定番とされるように感じるが、2番と5番はそれほどでもない曲想も相まって、若いマケラから繰り出される演奏は清冽で朗らか。
解釈は奇をてらわず、オーソドックスと言って良いアプローチ。
変なことをしないのは良いことだ。
マケラ自身は終始笑みを絶やさず、余裕を感じさせる。
若干27歳にしてこの統率力、団員から受けるリスペクトは素晴らしい。
肝心のオケは、お世辞にも綺麗な音とは言えず、アンサンブルも悪い言い方をすれば荒い、また雑だ。しかしマケラはマスゲームの彫琢を目指すのではなく、それでありながら一団を一つのベクトルに向かわせる。
個々はそれぞれのベストの演奏をやり切る。
そこから生じる音楽は間違いなく名演だった。
事前にリリースされていたデッカの音源を聴いたときは、正直なところ可もなく不可もなくという感想だったが、ライブでこれほど感動できたのは嬉しい体験だった。
アンコールはレンミンカイネンの帰郷。こちらも颯爽として、もはやレンミンカイネンの疾走である。面白い。